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医療保険部会で不妊治療の保険適用について意見交換(7月9日)

社会保障審議会医療保険部会は7月9日、医療保険制度改革の議論のとりまとめを年末に行うことで合意した。全世代型社会保障検討会議の最終報告が年末に延期されたことを受けた対応。全世代型社会保障検討会議が6月25日にまとめた第2次中間報告に書かれた、不妊治療の保険適用を検討する方向についても意見交換が行われた。

政府の全世代型社会保障検討会議は当初、夏に最終報告をまとめる予定だった。そのため、医療保険部会は最終報告に向けて、後期高齢者の自己負担割合の引上げや病院受診時定額負担のあり方などの医療保険制度改革の議論を進めてきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全世代型社会保障検討会議の最終報告が年末に延期されたため、厚労省は医療保険部会も議論のとりまとめを年末に延期することを提案し、了承された。次回から医療保険の制度改革について具体的な議論を再開する。  

全世代型社会保障検討会議が6月25日にまとめた第2次中間報告では、少子化対策として不妊治療の経済的負担を軽減する方針を打ち出した。体外受精や顕微授精など、高額の医療費がかかる不妊治療の費用を助成するとともに、「適用症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充する」と明記した。(資料:第2次中間報告 官邸ホームページ)

そのため、今年度に不妊治療の実態調査を行うとした。さらに、効果的な治療に医療保険を適用することも含めて、経済的負担の軽減を図る方策について調査研究を行うとした。  

これについて健康保険組合連合会の佐野雅宏委員は、「不妊治療の経済的負担を公費で軽減する方針は理解できる。ただ、医療保険の財政はひっ迫しているので、不妊治療を保険適用にする場合は、既存医薬品を保険適用から外すなど、幅広く議論してほしい」と主張した。

協会けんぽの安藤伸樹委員もこれに賛同。「不妊治療の経済的負担を軽減することは重要だが、実態を調査し、医学的エビデンスを踏まえた上で、保険給付のあり方を議論して欲しい」と求めた。

他方、日本労働組合総連合会の石上千博委員は、「少子化対策なら、正常分娩も含めて保険適用とすることを検討すべき」と主張した。  

レセプト情報の第三者提供に向けて専門委員会立ち上げ

同日の部会は、「匿名レセプト情報等の提供に関する専門委員会」を立ち上げることを了承した。

高齢者の医療の確保に関する法律が昨年改正され、今年10月1日からNDBと介護DBの連結解析が可能になるとともに、研究機関等の第三者にデータを提供する規定の整備を行うことになった。

第三者に匿名のレセプト情報の提供を行う場合には、あらかじめ社会保障審議会の意見を聞くことになっている。その検討を行うための専門委員会を、医療保険部会の下に立ち上げる。

専門委員会の審議は非公開となる予定だが、委員からは議事録の公開を求める意見が出された。

会議はオンラインで開催され、記者は別室でオンライン会議の画面を視聴した

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