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認知症グループホームの3ユニットでの夜勤2人配置は所定単位数から50単位削減───令和3年度介護報酬改定

令和3年度介護報酬改定では、人員配置基準の緩和も目立つ。

認知症グループホームではユニット数の弾力化が行われ、1以上3以下となるとともに、3ユニットのグループホームで一定の要件を満たす場合に、夜勤2人配置を可能とする運営基準の見直しが行われる。この場合の報酬について、予定の単位数から50単位ずつ差し引くことになった。

グループホームや介護付きホームでは看取りの対応を充実させる。また宿泊ニーズへの対応から、グループホームや多機能系サービスで要件を見直す。 

参考:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(1月18日)


認知症グループホーム

夜勤職員体制の見直し

3ユニットの認知症グループホームで一定の要件を満たす場合、例外的に夜勤を2人以上の配置に緩和することが可能となる(1月25日公布された改正運営基準で規定)。

この場合の報酬について、2ユニット以上の単位数から要介護度に関わらず、所定の単位数から50単位ずつ差し引くこととなった。短期利用の場合も同じである。

栄養改善の推進

認知症グループホームで、管理栄養士が介護職員等へ利用者の栄養・食生活に関する助言や指導を行う体制づくりを進めることを評価する 「栄養管理体制加算」を新設する(30単位/月)。

助言・指導する管理栄養士は、外部の介護サービス事業所や医療機関、介護保険施設、栄養ケア・ステーションとの連携により確保することも可能とする。ただし介護保険施設の場合、常勤で1以上又は栄養マネジメント強化加算の算定要件の数を超えて管理栄養士を配置している施設に限る。

医療ニーズへの対応を強化

医療連携加算体制加算(Ⅱ)・(Ⅲ)の医療的ケアが必要な者の受け入れ実績の要件について、現行の喀痰吸引を実施している状態と経鼻胃管や胃ろう等の経腸栄養が行われている状態の2つに加えて、気管切開など7つの状態を追加する。具体的に次のとおり。
① 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態
② 中心静脈注射を実施している状態
③ 人工腎臓を実施している状態
④ 重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態
⑤ 人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態
⑥ 褥瘡に対する治療を実施している状態
⑦ 気管切開が行われている状態

看取り期の死亡31日前の評価を新設

看取り介護加算について、特養と同様に死亡日以前31~45日以下の評価を新設する(72単位/日)。また算定要件の一部を見直し、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等に沿った取組を行うことを求める。

緊急時の宿泊ニーズへの対応

認知症グループホームの緊急時短期利用について、次のように見直す。
▽「1事業所1名まで」とされている受入人数の要件について「1ユニット1名まで」とする。
▽「7日以内」の受入日数について、「7日以内を原則として、利用者家族の疾病等やむを得ない事情がある場合には14日以内」に拡大する。
▽「個室」とされている部屋の要件も、「おおむね7・43㎡/人でプライバシーの確保に配慮した個室的なしつらえ」が確保される場合には、個室以外も認める。

介護付きホーム

看取り期の看護職員の夜勤等配置を評価

介護付きホーム((地域密着型)特定施設入居者生活介護)について、特養と同様に看取り介護加算の算定要件を見直すとともに、現行の死亡日30日前からの評価に加えて、それ以前の死亡日45日前~31日前の評価を新設する(72単位/日)。

さらに看取り期に夜勤又は宿直により看護職員を配置していることを評価する加算(Ⅱ)を新設する。加算(Ⅰ)の単位数に500単位を上乗せした単位数を設定する。

入居継続支援加算の見直し

介護付きホームの入居者の実態に合った適切な評価を行う観点から、入居継続支援加算について現行の「たんの吸引等を必要とする者の割合が利用者の15%以上」の場合の評価に加えて、「5%以上15未満」の場合に評価する区分を新設する。現行の加算は加算(Ⅰ)とし単位数は現行どおり。新設する区分は加算(Ⅱ)とし22単位/日とする。

他方、介護福祉士の配置要件(6:1)について、安全体制を確保したうえで、複数のテクノロジー機器を活用し、利用者に対するケアのアセスメントや人員体制の見直しをPDCAサイクルにより継続する場合に配置要件を7:1に緩和できる。

個別機能訓練加算の見直し

個別機能訓練加算でLIFEへのデータ提出とともにフィードバックを活用によるPDCAサイクルを推進し、ケアの質の向上を図ることを評価する新たな区分を設定する。現行の加算は加算(Ⅰ)とし、要件や単位数は同じ(12単位/日)。新たな区分は、加算(Ⅱ)とする(20単位/日)。加算(Ⅰ)を算定している利用者が対象であり、加算(I)と加算(Ⅱ)は併算が可能だ。特養でも同様の見直しを行う。

(看護)小規模多機能型居宅介護

登録者外の短期利用の要件を緩和

(看護)小規模多機能型居宅介護の事業所の登録定員に空きがあることなどを要件とする登録者以外の短期利用(短期利用居宅介護費)について、登録者へのサービス提供に支障がないことを前提に、宿泊室に空きがある場合には算定を可能とする。

要件として、現行の「登録者の数が登録定員未満であること」を削除する。また利用人数に関して、「登録者の宿泊サービスの利用者と登録者以外の短期利用者の合計が、宿泊定員の範囲内で、空いている宿泊室を利用するものであること」と見直す。

認知症の緊急時の対応を評価

(看護)小規模多機能型居宅介護で、施設系サービスと同様に、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新設する(200単位/日)。医師が、認知症の行動・心理症状が認められるため、在宅での生活が困難であり、緊急時短期利用居宅介護を利用することが適当であると医師が判断した者に対しサービスを行った場合に、利用を開始した日から起算して7日間を限度として算定できる。

離島や中山間地域におけるサービスの充実

離島や中山間地域におけるサービスを充実する観点から、(看護)小規模多機能型居宅介護で、特別地域加算等の対象とする。同様の観点から夜間対応型訪問介護や認知症対応型通所介護でも見直す。

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