#8 初めて1・2級に該当した場合の障害年金請求
「初めて障害等級の1級または2級に該当したことによる請求」(以下「初2請求」という。)とは、障害が既に一つあり、その上で、その障害とは別の原因でもう一つ障害が発生し、前後の障害を併せると、初めて1・2級の障害状態になった場合の請求方法です。
障害年金請求書の「障害給付の請求事由欄」にも記載があるため、障害認定日請求や事後重症と同じように、一つの確立した請求事由ですが、実際にこの事由で請求する例は多くはありません。
また、初2請求をする具体的な例は、上記の説明文言から連想するイメージとは、少々異なるかも知れません。今回は、どのような場合、初2請求をするかを、事例をもとに検証していきます。
従来ですと、相談内容の紹介から入りますが、今回は、まず初2請求の基本的事項から解説し、その後、事例検証をしていきたいと思います。
⒈ 初2請求の解説
⑴基本事項
複数の障害を併せて初めて障害等級の2級以上に該当するとき支給される障害年金です。このことから、二つ以上の傷病による障害があることが要件になってきます。軽かった一つの障害が悪化し、初めて1・2級に該当した場合は、事後重症ですので、初2請求にはなりません。
⑵初診日、納付要件等の取扱い
既存の3級以下の障害のことを「前発障害」と言います。その後、新たな傷病により発生した障害を「基準障害」と言います。この基準障害にかかる傷病により、初めて医療機関を受診した日が、当該障害年金請求の初診日となり、納付要件や障害認定日も、この日を基準に判定します。
⑶請求の効果
障害等級に認定されれば、事後重症と同じく、請求日の翌月分から障害年金が支給されます。遡りませんので、注意してください。
⑷複数の障害の併合
初2請求は、二つ以上の障害状態を勘案して、障害認定を行います。これを、障害の併合認定と言います。しかし、併合しても2級以上にならない障害もあります。例えば、心臓のペースメーカー装着で3級の方が、3級程度のうつ病になっても、併合して2級というようにはなりません。このように、併合認定される障害は、併合認定基準というもので規定されており、二つの障害があれば必ず併合認定されるという訳ではありませんので、注意が必要です。この併合認定基準については、日本年金機構のホームページにも記載されていますので、詳細はそちらをご覧ください。
日本年金機構ホームページ▶国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html)
※ちなみに、ペースメーカー3級とうつ病の3級の場合、もし、両方の傷病の初診日が厚生年金加入中であれば、障害厚生年金3級でそれぞれ決定され、どちらか一つの傷病の障害年金を選択して受給することとなります。
⒉ 初2請求の具体的な請求例
以上のようなことから、複数障害があっても、併合認定されない場合もあり2級以上に該当しないケースもありますし、また、一つ一つの障害がどの程度の障害等級に該当するかは、実際、障害年金を請求してみないと分からないことですから、初2請求というのは、あまりお目見えしない請求事例です。
では、この初2請求とはどのようなときにするのか、今回は初2請求で一番多い事例の一つを検証していきたいと思います。
事例●二つの傷病が原因による肢体障害での障害厚生年金請求
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