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介護サービスの指定申請・報酬請求文書での押印廃止と押印欄削除を了承(11月13日)

社会保障審議会介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」(野口晴子委員長)は13日、介護分野の文書作成等に関する簡素化・標準化の論点について意見交換を行った。


簡素化・標準化について厚労省は、①押印の見直し②変更届の頻度等の取扱い③更新申請時に求める文書の簡素化④併設事業所や複数指定を受ける事業所に関する簡素化⑤従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表の簡素化・標準化⑥実地指導等の時期の取扱い⑦総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の様式例の整備─の7つの論点を示した。

検討の方向性に、複数の委員が賛意を表明した。

論点①押印の見直しでは、指定申請・報酬請求に関する文書の押印を廃止するとともに、参考様式の押印欄も削除することを提案し、専門委員会も了承した。厚労省は令和2年中に事務連絡を発出する予定だ。またその他の論点についても年度内に結論を得て、対応を図る考えだ。

他方、ICT等の活用の一環として、介護サービス情報公表システムを活用した指定申請及び報酬請求に関する届出等に関して今年度中に方針を得ることを改めて説明した。



総合事業の様式例は従前相当とサービスAで作成へ

厚労省は簡素化・標準化について7つの論点を提示。その中で、総合事業の従前相当サービス及びサービスAの「指定」「更新」「休止」「廃止」の事務に関する様式例について作成する考えを示した。

論点①押印の見直し

論点①押印の見直しについては、指定申請・報酬請求に関して事業所が自治体に提出する文書について法律等で押印を求めていないことから、押印を求めることを止め、参考様式の押印欄も削除することを提案。委員会は了承した。

論点②変更届の頻度等の取扱い

論点②変更届の頻度等の取扱いについては、変更届の簡素化及び標準化に向けて引き続き実態調査を進めるとともに、次の点について検討することを提案した。

  • 省令に定める変更の届出について不要とできる項目がないか精査する。

  • 変更届に添付を求める文書を標準化できないか精査する。

  • 運営規定に係る「従業者の職種、員数及び職務の内容」の変更に関する変更届の取扱いは介護給付費分科会での検討の方向案を踏まえ、検討する。

  • 変更届は変更があったときから10日以内に提出することが求められているが、遅延する場合、遅延届を求める自治体と特に必要としない自治体があるため、遅延届の取扱いについて示すことができるかを検討する。

11月9日の分科会には、行政に提出する運営規定及び重要事項説明書については、「〇〇人以上」と記載することを可能とするとともに、運営規定の「従業者の職種、員数及び職務の内容」についてはその変更の届出は年1回で足りることを明確化ことが示され、概ね了承されていた。

論点③更新申請時に求める文書の簡素化

論点③更新申請時に求める文書の簡素化については、介護保険法施行規則上、更新申請において変更がないときは、「申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる」としている事項は、必ず省略することを提案した。また変更がないため提出を省略している書類であることが確認できるよう、更新申請書や付表において「変更なし」のチェック欄を設けるなど対応する。

論点④併設事業所や複数指定を受ける事業所に関する簡素化

論点④併設事業所や複数指定を受ける事業所に関する簡素化については、同一の事業所で実施している複数のサービス(総合事業を含む)について、申請先の複数の自治体において類似の添付書類が求められるケースがあるが、システム面(介護サービス情報公表システムの改修)等による対応を検討することを提案した。

「介護サービスと予防サービスで指定開始日が異なる場合、更新日を近い方にあわせて集約し、更新申請が6年に一度で済むようにする」案については、法制上の整理が必要であることから、引き続き検討することとした。

論点⑤従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表の簡素化・標準化

既に事務連絡で示した様式例に関する基本的な考え方で「必要項目を満たしていれば、各事業所で使用するシフト表等の提出より代替することで可能とする」ことを示しているが、事務連絡は参考様式を改訂したことを主な内容として記載しているため、この取り扱いに気付いていないケースが見られることを報告した。

厚労省は次回、事務連絡を発出する際に、「必要項目を満たしていれば、各事業所で使用するシフト表等の提出により代替することで可能とする」という取扱いを明確にして周知することを提案した。

この点に関して、委員からは、将来的にICT化を見据えて従業者の勤務体制及び勤務形態の一覧表の標準化を進めるよう求める意見と、現場での負担が増えて簡素化につながらないことを指摘し反対する意見の両論が出た。

論点⑥実地指導等の時期の取扱い

今年度実施している「介護保険施設等実地指導マニュアルの在り方に関する調査研究」において、施設等の実地指導の実施方法について、効率的な実施の観点から見直しを検討し、あわせて実地指導等の頻度を検討していくことを提案した。

論点⑦総合事業の様式例の整備

論点⑦総合事業の様式例の整備について、「指定」「更新」及び「休止」「廃止」に係る事務は様式例を提示し、事務の標準化を図ることを提案した。

「変更」に係る事務は現行、規定がなく市町村ごとで判断されている。「変更」事務の実態を十分に把握した上で対応を検討する。

また作成する様式例の対象範囲は従前相当サービス及びサービスAとする。サービスCは委託による実施が基本だが、一部では指定していることから実態を把握し必要な対応を検討する。

実際の様式例は、指定居宅サービス事業所等の様式例を参考に作成して事務連絡で示す。

情報公表システムを活用した指定申請・報酬請求の届出に関して今年度中に方針を得る

他方、ICT等の活用の一環として今年度の老人保健健康増進等事業を踏まえ、介護サービス情報公表システムを活用した指定申請及び報酬請求に関する届出等に関して今年度中に方針を得る考えを改めて説明した。

老人保健健康増進等事業では、具体的に「介護サービス情報公表システム」を活用した指定申請・変更届等の入力項目の標準化等の実現について、その可能性や技術的な課題、システム改修を行う場合のについて検討する。さらに、これが実現した場合、自治体関係者や介護事業者等の事務負担がどう軽減されるのかも検討する予定だ。

委員会では、自治体の枠組みを超えた文書負担軽減などを進めるうえで、目指すべき「グランドデザイン」の議論を同時に進めるように求める意見が出た。

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