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#2 断捨離しすぎて大失敗。確定申告に必要だった証明書とは?

望月 厚子(もちづき あつこ)/ 望月FP社会保険労務士事務所 所長

「断捨離 (だんしゃり)」という言葉を耳にしたり、実行したことがある人もいらっしゃると思います。
断捨離とは、不必要なものを処分して、身のまわりを整理することです。
自分にとって必要なものや大切なものを手元に残しておくのは当然のことですが、うっかり大切な書類を断捨離(処分)してしまうことがあります。
たとえば、 確定申告の時期になると、「医療費控除を受けたいけれど、支払った医療費の領収書を捨ててしまった」、「ドラッグストアで風邪薬を購入したけれど、レシートを処分してしまった。どうしよう」というご質問が増えてきます。
実は、医療費に関する領収書やレシートなどは、確定申告に必要なため、手元に保管しておきたい大切な書類のひとつになります。
ですが、断捨離することが楽しくなり、勢い余って手元に残しておく必要がある書類まで処分してしまうこともあるようです。
今回は、断捨離をしないでほしい書類のうち、医療費に関する書類について、ご説明しましょう。


こんなときは医療費控除で所得税の還付金を受けられる

病気やケガで医療機関に支払った医療費や入院費、妊娠や出産にかかった費用、通院に必要な交通費などは、確定申告の「医療費控除」の対象になります。
医療費控除とは、1年間(その年の1月1日から12月31日までの間)に支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えた場合に超えた部分に受けられる所得控除です。
医療費控除の対象になる場合は、確定申告することで所得税の還付金を受けることができます。
医療費控除については、自分または自分と生計を一にする配偶者やその他の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)のために実際に支払った医療費についても、合算して計算することができます。
この医療費控除には、「医療費控除の対象となるもの」と「医療費控除の対象とならないもの」があります(図表1参照)。

たとえば、「医療費控除の対象となるもの」には、医師や歯科医師による診療や治療費、通院費、義手・義足・松葉づえ等の購入費、分娩費などがあります。一方、「医療費控除の対象とならないもの」には、美容整形手術の費用、健康診断や人間ドック費用、インフルエンザなどの予防接種の費用などがあります。なお、健康診断や人間ドックの結果、重大な疾病が見つかり、引き続き治療を受ける場合は、医療費控除の対象になります。

平成29年から確定申告時に領収書添付不要

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