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ユニット型施設の定員拡大やグループホーム夜勤配置緩和に賛否(12月2日)

社会保障審議会介護給付費分科会は2日、令和3年度の介護報酬改定に向け、運営基準等の改正について議論を深めた。

厚労省はユニット型施設の1ユニットの定員を15人まで拡大することや、認知症グループホームの夜勤職員配置の一部緩和を示した。賛否両論が出たことから取りまとめは保留された。

令和3年度からの施行に向け、自治体の条例改正が必要になる運営基準等の改正に関する事項について厚労省は、審議報告の取りまとめに先行して検討を要請した。

「個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し」について、「1ユニットの定員を15人を超えない範囲で緩和する」ことが盛り込まれた。入所者の処遇の低下や職員の負担増の懸念などから複数の委員が反対していた。これまでの反対意見も踏まえ、「ユニット型指定介護老人福祉施設等における介護・看護職員の平均的な配置を勘案して職員を配置するよう努める」ことが付記された。

また認知症グループホームの夜勤職員体制の見直しについて、「3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、一体的な運用が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっていることを要件に、夜勤2人以上の配置に緩和することを可能とする」ことが盛り込まれた。 現在では1ユニット1人の夜勤職員の配置が義務付けられており緩和することを検討してきたが、安全性等の観点から強い異論が出ていた。

こうした見直しについて全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員や日本慢性期医療協会の武久洋三委員などが賛同した。

一方、認知症の人と家族の会の鎌田松代委員は、利用者の処遇の低下などへの懸念を示し、「人員配置基準の緩和、夜勤の緩和には断固反対する」と表明した。

日本看護協会の齋藤訓子参考人も反対意見を展開。ユニット型の緩和について利用者の重度化の進行やユニットケアの個別性を重視したケアへの配慮の必要性を強調し、「ユニットの定員を増やすことであれば、合わせて職員数を増やしていくことがあるべき姿」と主張した。またグループホームの夜勤配置の緩和についても、火災・災害への対応とともに、利用者の重度化や看取りへの対応を考慮し、慎重な検討を要請した。

連合の伊藤彰久委員は今般の見直しについて反対の立場から「事業所内で人が確保されさえすればいいことが色濃く出ている」などと批判。「いかに介護業界に人にきていただくか。労働者に選ばれる業界になっていく必要がある。処遇改善を柱に人材確保を考えてほしい」と訴えた。

強い異論があることを踏まえ、田中滋分科会長は、取りまとめを保留。グループホームの夜勤の取扱いは厚労省と相談することとした。ユニット型の定員拡大については、「安全性、質の確保、実効性の担保」に関して厚労省に対応案の検討を要請。引き続き分科会で議論する意向を示した。

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