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介護保険の福祉用具の貸与・販売の整理や適正化の議論を開始(2月17日)

厚労省は2月17日、「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の初会合を開いた。

介護保険制度の福祉用具の貸与と販売種目の整理、保険給付の適正化、利用者の安全性の確保などを議論していく。座長には野口晴子早大教授を選出。

介護保険制度の福祉用具については介護給付費分科会がまとめた令和3年度介護報酬改定の審議報告で「貸与・販売種目について現行制度の貸与原則のあり方や福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全性の確保、保険給付の適正化等の観点から、どのような対応が考えられるのか、今後検討していくべきである」との考えが示された。

一方、財政制度等審議会の建議では「廉価な福祉用具は貸与から販売に変えることで毎月のケアマネジメント費用が不要となる。要介護度に関係なく給付対象となっている廉価な品目(歩行補助杖、歩行器、手すり等)は貸与ではなく販売とすべき」と提言。ケアマネジメントのあり方の見直しとして、令和6年度の介護報酬改定において福祉用具の貸与のみを行うケースについて報酬の引き下げを求めている。

さらに、経済財政諮問会議の新経済・財政再生計画改革工程表でも「福祉用具貸与のあり方について、要介護度に関係なく給付対象となっている廉価な品目は貸与ではなく販売とする」など必要な対応の検討を求めている。

こうした指摘を踏まえ、厚労省は論点として、①福祉用具貸与と特定福祉用具販売の整理について介護保険法施行時と現在の状況の差異を踏まえ、どのように考えるべきか。また、福祉用具貸与を利用している者に対するケアマネジメントについて、どのように考えるべきか②福祉用具貸与等における販売制度導入を含めた適正化方策について、どのような取組みが考えられるか③福祉用具貸与等における安全な利用の促進、サービスの質の向上について、どのように取り組んでいくか―の3点をあげた。

初会合で保険者代表の委員は「介護保険制度の財政面から財政審の建議にある廉価な品目は貸与ではなく販売に移行することを考えるべき」(健保連の幸野庄司理事)、「給付の抑制の観点から販売への移行や購入の選択肢について議論する時期が来ている」(東京都稲城市の石田光宏副市長)と見直しを求めた。

一方、業界代表の委員は「要介護者の状態が変わっても適切に変更できる点で貸与は大事である。本人が購入した場合、ケアマネが合っていないと指摘しても使い続けて転倒や状態悪化のリスクが高まる」(日本福祉用具供給協会の小野木孝二理事長)、「杖や歩行器、手すりは貸与の継続をお願いしたい。高齢者は短期間で状態が変わるので定期的なメンテナンスが必要」(日本福祉用具・生活支援用具協会の花岡徹会長)と貸与原則の維持を要請した。  

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