#3 社会の多様性と共同体意識
レースコースは一般道! 道の両側に分厚いコンクリートの側壁をずらり設置
みなさんこんにちは。
一日の寒暖差の激しいアゼルバイジャンも陽春の季節となりました。というか、もう天気が良ければ日中は汗ばむくらいの陽気です。公邸の庭のバラも今ちょうど満開に咲き誇っていますし、カスピ海から吹いてくる風が気持ちよく感じられる今日この頃です。
バクーの春はとても短い、すぐに暑い夏が来る、とみなさんおっしゃいます。過ごしやすいいい季節は短いのだそうです。そのせいか、5月から6月にかけては様々な国際イベントが目白押しです。
日本の大型連休に当たる5月4日から6日まで「第四回文化間対話に関する国際フォーラム(4th World Forum on Intercultural Dialogue)」、3日から7日まで「ツール・ド・アゼルバイジャン(Tour d’Azerbaijan、ツール・ド・フランス(自転車競技)のアゼルバイジャン版です)」、そして12日から22日まで57カ国のイスラム諸国が参加する「第4回イスラム連帯スポーツ競技大会 (The Islamic Games)」が開催されました。
6月に入って上旬に第24回カスピ海石油・ガス国際博覧会(24th Caspian International Oil & Gas Exhibition)があり、21日からはいよいよF1グランプリレース、「アゼルバイジャンGP」が開催されます。
このF1はモナコGPと同様に街中の一般道を封鎖して行われるレースなので、コースになる道路は期間中完全に封鎖されて「レースコース」となります。道の両サイドに高さ1メートル幅30センチはあろうかという分厚いコンクリートの側壁をずらっと並べてボルトで固定し、その上に2メートルほどの金網を設置していきます。
海岸沿いの目抜き通り(数キロに及ぶ直線道路です。話ではここはマシンが300キロ超でぶっ飛ばすそうです)は言うに及ばず、旧市街周辺の「本当にここ走るの?」と思うような狭い道もコースになっています。
お話ししたように、5月から6月にかけては各種国際会議・国際大会が次々に開催され、多くの外国人が往来するのですが、この「側壁作り」やメインスタンドの設置など、F1の準備は5月上旬からすでに始まっていて、コースとなる通りには側壁が着々と設置されています。
側壁ができてしまうと当然ながら歩道から車道には全く出られません。バス停にもアクセスできないしタクシーも止められないので、市民は側壁の切れ目から車道に入ってテクテクとバス停に向かって歩きます。路上駐車は当然側壁の内側です。
ただでさえ側壁ができて道が狭くなっているのに、さらにその内側に路上駐車の放列があり、そこを国際会議関係の車両(各国外交団・国際機関・外国要人・政府要人の車両)、イスラミックゲームに参加する選手団・大会関係者の車が走ります。警備も厳重になるし、主要道路には国際イベントのための「専用レーン」も設置されますから、街は大渋滞。身動きの取れない車の間を人がぞろぞろと歩く。計画性があるんだかないんだか、見ていて危なっかしいやら滑稽やら、面白い光景です。
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