三宅社労士の年金セミナー|#11 在職中の繰下げ受給~65歳以降も高収入な場合
最近は65歳以降も働ける環境が整いつつあり、年金を繰下げ受給する方が増えてきています。しかし、65歳以降に高収入の場合は、在職老齢年金のしくみによる「在職停止を除いた部分のみ」が繰下げ増額の対象になることを正しく理解していない方も見受けられます。
そこで、わかりやすいケースとして、65歳以降に年金の一部が在職停止されている方が68歳に会社を退職し、70歳から繰下げ受給をすると、年金はどのようになるのか、相談事例をもとに説明していきたいと思います。
相談事例
繰下げの手続について
まず、手続きについて説明します。現在、特別支給の老齢厚生年金(一部支給停止)を受給中とのことなので、65歳になると65歳時の諸変更裁定請求手続(特別支給の老齢厚生年金から本来の老齢厚生年金・老齢基礎年金に切り替える手続)をします。
65歳になる誕生月の初めに日本年金機構から「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」というハガキ様式の書類が送付されます。このハガキの下部に繰下げ希望欄がありますので、この欄に繰下げ受給の意思を記載します。
なお、老齢厚生年金を繰下げ希望する場合に、厚生年金基金加入期間がある場合は、厚生年金基金の代行給付(報酬比例部分)も繰下げ扱いになりますので、別途、厚生年金基金にも連絡が必要です。
この手続により、繰下げを希望した年金が支給されなくなります。その後、年金を受給したい年齢になったら、繰下げ請求をします。「老齢基礎・老齢厚生年金支給繰下げ請求書」(様式235号)に年金証書等を添付して、住所地の年金事務所に提出します。
繰下げ請求をした翌月から増額された年金が受給できます。なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰下げ受給する場合には、その都度、提出が必要です。
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