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次なる感染症危機に向け医療機関との協定を法定化―政府の新型コロナ対策本部が「対応の具体策」を決定(9月2日)

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長=岸田文雄首相)は9月2日、次の感染症危機に備えるための対応の具体策を決定した。感染症法等を改正し、都道府県と医療機関が締結する協定を法定化する方針。

新たな感染症の発生時やまん延時の初期に医療を確保するための費用については、公費だけとせず、保険でも負担することとした。

新型コロナウイルス感染症対策本部(写真:官邸提供)

今回、決定された「対応の具体策」は、同本部が今年6月に示した「対応の方向性」を具体化したもの。感染症法や健康保険法などの法改正が必要となる事項も盛り込まれている。

岸田首相は「『対応の具体策』を踏まえ、必要な法律案の準備を進めるなど、取組を加速してもらいたい」と各大臣に指示した。

指示に従わない場合 地域医療支援病院の承認取消しも

感染症法に基づき都道府県が定める「予防計画」にそって、都道府県は医療機関等と、病床や発熱外来などに関する協定を締結する仕組みを設置することとした。

さらに公立・公的医療機関等や特定機能病院・地域医療支援病院には、感染症発生やまん延時に担うべき医療の提供を義務付け、その他の病院との協定締結を含めた都道府県医療審議会における調整の枠組みを創設する。

岸田首相は、「病床や発熱外来などに関し、医療機関等と協定を締結する仕組みを法定化する。また、地域の拠点病院に、有事に担うべき医療の提供を義務付けるなど、平時から計画的に体制を整備することで、有事に、確実に医療が提供されるようにする」と述べた。

初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関に対して、都道府県は感染症流行初期において感染症流行前と同水準の医療の確保を可能とする「流行初期医療確保措置」を講ずることとする。

都道府県との協定に沿った対応を行わない医療機関に対しては、都道府県が勧告や指示、公表を行うとした。特定機能病院や地域医療支援病院については、都道府県の指示に従わない場合に、承認を取り消すことができるとした。

流行初期医療確保措置のための費用は、公費だけでなく保険としても負担することとした。

これらの対応を可能とするべく、「速やかに法律案の提出を図る」とした。

このほか、感染症対策における政府の司令塔機能を強化するため、「内閣感染症危機管理統括庁」の設置や、厚労省の健康局への「感染症対策部」を設置の方向も示している。

 

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