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#38 内縁夫の未支給請求から実母の遺族厚生年金受給につながった事例

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

今回は、未支給年金と遺族厚生年金の受給権者が異なるケースをご紹介します。内縁の夫が、社長である妻が死亡したとして未支給年金の請求手続を進め、この相談過程で、死亡した妻が実母の生活を経済的に支えていたことがわかりました。
内縁の夫は死亡者と生計同一関係にありましたが、生計維持関係にはありませんでした。一方、実母は死亡者により生計を維持していました。
では、妻死亡による未支給年金と遺族厚生年金がどうなったのか、見ていきましょう。

【事例概要】
死亡者:A子さん(昭和36年1月18日生まれ:63歳)
・平成30年8月、亡くなった父親から会社を承継して社長となる
・令和6年2月3日、死亡
<年金加入歴>
・昭和57年4月~昭和62年10月(67月):厚生年金保険と厚生年金基金加入
・昭和62年11月~(240月):国民年金加入
・平成22年8月~死亡時:厚生年金保険加入
 
請求者:B男さん(昭和32年4月5日生まれ:67歳)
・内縁の妻であるA子さんが死亡したとして未支給年金を請求
・本妻C子さんと別居中
 
請求者:D美さん(88歳)
・A子さん死亡当時、老人施設に入居
・老齢基礎年金と夫死亡による遺族厚生年金を受給中
・平成30年8月から毎月15万円の仕送りをA子さんより受け取る


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