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柔整療養費のオンライン請求などの仕組みで方向性案(2月24日)

社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養検討専門委員会は2月24日、オンライン請求の導入など療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みについて議論した。

厚労省が療養費の請求・審査・支払手続きの方向性案を示すとともに、審査支払機関である支払基金と国保中央会からヒアリングを実施した。

柔道整復療養検討専門委員会(2月24日)

厚労省の方向性案では、療養費の請求先など次の6項目を示した。

1、施術管理者による療養費の請求先

  • 施術管理者はオンラインにより審査支払機関に請求する。現行は保険者と国保連合会となっている。

2、審査支払機関の位置づけ

  • 受領委任協定・契約等に位置付ける。

  • システムにより事務点検を実施し、これにより不適切な請求と疑われたものは柔整審査会で重点的に審査し、必要な場合は患者照会や面接確認委員会による面接確認を行った上で、審査結果を決定する。

  • 療養費の支払いは、審査支払機関から施術管理者に行う。

  • 国保連合会と支払基金で対応可能とする場合は、可能なものは共通化・共同化する。

3、保険者による支給決定や過誤調整の取扱い

  • 関係者の業務負担の軽減・効率化、手続きの迅速化等の観点から、制度的な整理も含めて検討する。

4、柔整審査会に審査を委託していない保険者の取扱い

  • 保険者は療養費の請求受付・審査・支払いを審査支払機関に委託することを基本とする。

5、オンライン請求への完全移行までの経過措置

  • オンライン請求について期限を区切って計画的に進めることとし、オンライン請求に完全移行するまでの経過措置期間を設ける場合、紙での支給申請に対する審査・支払いのあり方、経過措置期間中の請求代行業務の取扱いについて検討する。

6、地方厚生(支)局長および都道府県知事の指導・監査の取扱い

  • 地方厚生(支)局長および都道府県知事による指導・監査は、傾向審査、縦覧点検等に基づく柔整審査会からの情報提供等を踏まえて行う

支払基金と国保中央会からヒアリング

新たな療養費の支払の仕組みについて、支払基金と国保中央会の代表が意見を述べた。

支払基金の須田俊孝参考人は「支払基金は柔整審査のノウハウを一切有しておらず、各都道府県の審査委員会事務局機能は極めて小規模なものに縮小されるため、紙を前提とした現行の審査業務を行うことは極めて困難」と述べ、オンライン請求の実現が必須とした。

また、国保中央会・国保連の審査支払システムとの共同開発の方針が示されていることから、「柔整療養費の審査も、これらの取組みの進捗を踏まえつつ、実現可能性に十分配慮した議論がなされるべき」と述べた。

国保中央会の中野透委員は、療養費の請求・審査・支払手続きにかかるシステムの整備については、「国保連の業務実態を踏まえた標準的な業務フローやシステムの整備」「新たな業務フローやシステムに円滑に移行するための財政支援」が必要となることを指摘。

オンライン請求の導入については、①申請書の記載項目・添付書類のあり方の見直しや被保険者の自署の取扱いなど実務的な論点の解決が必要、②紙による申請を経過的に残したうえでのオンライン請求移行は非常に大きな人的・物的コストがかかるため、完全実施すべき③レセプトの一元管理をしている国保総合システムとの円滑な接続を十分に検討すべき―を指摘。「支払基金と共同開発する審査支払システムの内容を見極めて上で、新たな療養費のシステムが円滑に連動して機能するよう、さまざまな調整が必要。スケジュールありきで進めないでほしい」と要望した。

償還払いに変更できる事例を了承

一方、同日の専門委員会では、柔道整復療養費の適正化を図るための患者ごとに償還払いに変更できる事例について議論した。現行の受領委任払いから償還払いに変更できる事例については、厚労省が「柔道整復師の施術に係る療養費」通知の改正案などを提示し、概ね了承された。

変更できる事例としては、①柔道整復師自身による自己施術の療養費の支給申請が行われた柔道整復師である患者②柔道整復師の家族や関連施術所の開設者・従業員に対する自家施術を繰り返し受けている患者③保険者が繰り返し患者照会を行っても回答しない患者④複数の施術所で同部位の施術を重複して受けている患者―とする。

前回1月31日の委員会で例示した「非常に長期にわたり、かつ、非常に頻度が高い施術を受けている患者」については、「対象患者の基準は引き続き検討が必要」ということから除外された。

これに対し、健保連の幸野庄司委員は「引き続きの検討事項になったことは承服しかねる。期限を定めて検討してほしい」と要望した。

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