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四病協が介護報酬改定で要望(8月19日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は19日、令和3年度の介護報酬改定に向け、四病院団体協議会など、関係団体からのヒアリングを継続した。四病協は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けた介護報酬における臨時的な取扱いで、通所介護等で2区分上位の報酬区分を算定する場合に、利用者負担がない形で報酬を受け取れるように見直すことなどを求めた。
今回でヒアリングは終了となる。ヒアリング内容も踏まえて分科会は、検討を深めていく。


事業所評価加算の要件の一部見直しも求める

ヒアリングに参加したのは、①四病院団体協議会②日本認知症グループホーム協会③高齢者住まい事業者団体連合会④全国軽費老人ホーム協議会⑤宅老所・グループホーム全国ネットワーク─の5団体(⑤は書面のみ)。

このうち四病院団体協議会は、日本病院会と全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の4団体で構成される。

新型コロナウイルス感染症拡大を受けた介護報酬における臨時的な取扱いで、通所介護や通所リハビリテーションなどの通所系サービスで2区分上位の報酬区分の算定を可能とすることなどが実施されている(6月1日付事務連絡 表1・表2は同事務連絡から抜粋)。事業者が2区分上位の報酬を請求する場合、その分、利用者負担も多くなる。

四病協は、「利用者からは『なぜ利用者が支払わなければならないのか』との意見も多く聞かれる」と説明。この特例的な報酬の支給では、利用者負担が生じないように見直すことを要望した。

また介護予防通所リハ等で導入されている事業所評価加算の要件の一部の見直しを提起。同加算は、運動機能向上などの選択的サービスを行った事業所の利用者が一定以上維持・改善した場合に、質の高い事業所として評価されるもの。1年間で一定の基準を上回っていた場合に加算算定が認められる。

要件の1つの評価基準値の算定では、「選択的サービスを3か月以上利用し、その後更新・変更の認定を受けた者」の数を使う。一方、要介護認定の見直しにより、更新申請における設定可能な有効期間が最長36か月までと長くなっている。算定要件の一部が、こうした現状と合わなくなっていることから、四病協は見直しの検討を求めた。

加えて、◇生活機能向上連携加算の活用促進のために協力する病院やリハビリ事業所に対する加算を創設すること◇通所介護のADL維持等加算の単位数を引き上げること◇小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護の入院時情報連携加算の算定を可能とすること─などを要望した。


認知症ケア拠点加算の創設を提案

日本認知症グループホーム協会は、地域における認知症ケアの拠点として積極的に取り組む事業所の評価として新たに「認知症ケア拠点加算」の創設を提案した。また医療ニーズへの対応強化を図る観点から、入院時情報連携加算と退院時情報連携加算を新設するように求めた。

高齢者住まい事業者団体連合会は、全国有料老人ホーム協会や全国介護付きホーム協会、高齢者住宅協会で構成される。連合会は、住宅型有料老人ホームが特養入所の待機者に利用されている状況などを説明。同一建物減算をホームへの訪問介護事業所等の併設や利用者数により行うことについて、「結果的に利用者のニーズを損なうことになりかねないため、慎重な検討が必要」と指摘した。さらに減算の廃止又は軽減を訴えた。
他方、併設介護事業所による集合住宅居住者への効率的なサービス提供についての適切な評価も求めた。

全国軽費老人ホーム協議会は、軽費老人ホームやケアハウスでおよそ500施設が参加しており、そのうち2割が特定施設入居者生活介護の指定を受けている状況を説明。特定施設入居者生活介護にも入院時費用加算を導入することや栄養スクリーニング加算の単価の引き上げ、認知症専門ケア加算の要件の緩和、地域共生社会の実現のための施設機能強化推進の拠点加算の新設を求めた。
さらに、人件費の基礎となる最低賃金が都道府県単位であるにもかかわらず、介護報酬が級地区分に基づいていることの見直しの検討を要望した。

宅老所・グループホーム全国ネットワークは、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を一本化して配分率を引き上げるか、可能であれば両加算を廃止し基本報酬に組み入れることを提案した。
特定加算について、加算の要件である、経験・技能のある介護職員の処遇改善を実施した場合、事業所の運営が成り立たなくなる実情などを指摘した。

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