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#3 年金請求の手続きは難しくない!請求手続きのポイントと注意点

望月 厚子(もちづき あつこ)/望月FP社会保険労務士事務所 所長

この記事は社会保険研究所刊「くらしとねんきん」2022年秋号に掲載したものです。

公的年金は、受け取る権利(受給権)ができたときに自動的に支払いが始まるものではありません。
年金を受け取るためには、年金請求手続きが必要です。
支給開始年齢の約3ヵ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書」が送られてきます。
今回は、スムーズに年金請求手続きができるようにポイントをご説明します。

ポイントは請求書の書き方、必要書類の準備、予約相談

支給開始年齢の誕生日の約3ヵ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」が本人宛てに送られてきます。年金請求書には、基礎年金番号や氏名、生年月日、年金加入記録などがあらかじめ印字されており、記入する部分は、黄色の枠で囲まれています。請求する人によって必要書類が異なりますが、受取先金融機関の通帳等、雇用保険に加入したことがある人は、雇用保険被保険者証(写し)、加給年金額が加算される人は戸籍謄本などが必要です。
スムーズに年金請求をするには、年金請求前に「事前相談」を受けてみることです。事前相談では、年金請求書の書き方や年金見込額の試算、必要書類のチェックを受けることができます。
年金相談は、待ち時間が少なく、自分の都合に合わせた日時に相談できる「予約相談」がお勧めです。

年金請求手続きの注意点

  • 年金請求書は、黒インクのボールペンで記入します。鉛筆や、消せるペンは、使用できません。

  • 本人に代わって、代理人が手続きする場合は、委任状(年金請求書につづられています)が必要です。

  • 年金請求書を提出できるのは、支給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)以降です。支給開始年齢になる前に提出することはできませんので、気を付けましょう。

  • 年齢によっては、60歳から65歳までに「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる場合がありますが、特別支給の老齢厚生年金には「繰下げ制度」はありませんので、速やかに手続きをしましょう。

  • 年金を受ける権利は、権利発生から5年を経過すると、5年を経過した分は時効により消滅します。

年金の請求手続きの流れ

年金支給開始年齢が近づいてきた会社員Mさんのケースを見てみましょう。

もうすぐ支給開始年齢。年金請求手続きは何から始めればいい?

年金請求手続きは必要書類の準備などが大変そうで不安です。手続きを間違いなくスムーズに行いたいのですが、どのように進めればよいですか。

Mさん:昭和34年8月15日生まれの63歳、厚生年金保険に加入中。年金の支給開始年齢は64歳。
妻は59歳、第3号被保険者。

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