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機能の集約化が焦点に 中医協総会が小児医療と周産期医療を議論(2023年8月2日)

中医協総会(小塩隆士会長)は2日、次期診療報酬改定に向けて、小児・周産期医療について議論した。小児医療については、集約化や家族の付き添い、往診の増加などに関する意見があがった。周産期医療についても集約化を求める意見が出された。

小児の入院患者数は、年々減少している。小児科を標榜する病院数は減少しており、2020年は2523病院(下図右)。厚労省は「特に病院小児科については集約化が進んできていると考えられる」と指摘した。

小児科標榜医療機関数、小児科医数の推移



日本病院会の島弘志委員は、「小児二次、三次救急の連携は言うまでもないが、特に高度医療では地域での集約化を図るとともに、診療報酬でさらなる評価が必要だ」と訴えた。

小児入院への家族付き添いで今後実態調査

小児科病棟における入院患者の家族の付き添いも議論された。小児入院医療管理料を届け出る病棟のうち、46%では保育士を、27%では看護補助者を配置している。

小児科病棟における保育士等の職員配置の状況

小児入院患者の家族の付き添いについては、昨年10~11月に実態調査が実施された。病院側から家族等に付き添いを依頼している実態があることや、付き添いの家族の約半数が「十分な睡眠がとれない」「他の家族の世話ができない」などに困っていることがわかった。

今後、こども家庭庁を中心に、付き添い時の家族等への食事や睡眠等に関する医療機関の取組みや課題について調査を実施する予定となっている。

小児かかりつけ診療料の算定回数が増加

小児外来医療については、前回改定で小児かかりつけ診療料の要件に、「時間外対応加算3の届出」や「在宅医当番医制等により初期小児救急医療に参加し、休日または夜間の診療を年6回以上の頻度で行っていること」を追加した。小児かかりつけ診療料の算定回数は2021年から2022年にかけて増加した。

日本医師会の長島公之委員は、「今回改定でも、地域でのさまざまな需要に対し役割を果たしている医療機関という視点は重要だ」と指摘した。

廃止された往診のコロナ特例の取扱いを呼びかけ

小児患者への往診料が急増していることについても議論がなされた。往診料の算定回数は、2019年までは増加傾向だったが、2020年に減少し、2021年は前年の2・6倍に増加、2022年はさらに1・9倍に増加した。在宅患者訪問診療料の算定回数は、年々増加傾向にある。コロナ禍で特例的に往診の算定要件が一部緩和されたことも背景にある。

健保連の松本真人委員は、「上手な医療のかかり方を考える必要がある」と問題視した。往診のコロナ特例はすでに一部廃止されているため、厚労省は、現在の往診の取扱いを周知徹底するなどの対応を検討するとした。

収入基盤が不安定な社会的ハイリスク妊産婦が増加

周産期医療については、機能分化・連携と集約化が重要との指摘が出された。

高齢出産の増加により、合併症の頻度が増加し、ハイリスク妊産婦が増加(下図)。また、収入基盤が不安定・家族構成が複雑などの社会的ハイリスク妊産婦も近年増えている。

ハイリスク妊産婦の増加

長島委員は「ハイリスクの要因について、もう少し詳しく調べる必要がある。加算で評価されていない患者がいれば、追加の必要性も検討すべきだ」と提案した。

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