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#34|てんかん発作による外傷での障害年金請求


 脳疾患による肢体障害は、救急搬送された日が初診日となることが多いので、他の障害に比べて、初診日の特定がしやすい障害年金の請求と言えるでしょう。

 しかし、脳疾患の原因が、他の疾病が原因であることが明らかな場合は、この限りではありません。例えば、心原性脳梗塞は、心臓にあった血栓が脳に飛ぶことによって引き起こされますので、心疾患と脳梗塞に相当因果関係が認められる場合もあります。また、低酸素脳症は、循環不全や呼吸不全などが原因となり引き起こされますから、相当因果関係が認められる可能性のある疾病は多岐にわたります。いずれも、一つの疾病から脳疾患という疾病へというように、「疾病」から「疾病」へと派生します。
 
 では、「疾病」から「負傷」へ派生した場合はどうなるのか。今回は、疾病が原因で転倒し、頭部外傷を負った方の障害年金請求事例を検証します。

1.請求傷病の選定

 まず、相談者は「てんかん」と「下半身麻痺」という2つの障害があります。しかし、てんかんは、ほとんど発作を起こすことはなく、抗てんかん薬で十分コントロールできている状態であるとのことから、障害等級に結び付く可能性は極めて低いので、請求傷病は下半身麻痺のみとします。

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