事例でみる障害年金請求の勘所|#18 心疾患の障害等級認定について
障害等級の認定は、提出した診断書の審査を経ないとわからないものですが、人工透析(2級以上)や人工関節挿入(3級以上)等の場合は、審査を経ないでもある程度の障害等級がわかります。
特に、心疾患は事前に障害等級がわかる事例が多いのが特徴です。
これらに該当した場合は、初診日から1年6カ月を経過しなくとも、障害認定日をむかえるため、注意が必要となります。
しかし、図1の該当事例を見ても分かる通り、馴染みのない医療用語が多く、何をどのように処置したか、相談者が正確に説明できない場合もあります。今回の事例は、そのような心臓に障害のある方からの相談になります。
1.サルコイドーシスという病気
「サルコイドーシス」とは、「肉芽腫」という結節(隆起した腫物のようなもの)ができることによって、その臓器や身体の機能を低下させる等悪影響を及ぼす病気です。この「肉芽腫」は全身のさまざまな箇所にできる可能性がありますが、多くの場合は無症状若しくは軽症で、時間が経過するに連れて自然治癒します。しかし、今回の相談者のように、心臓にこの「肉芽腫」ができると、不整脈等も誘発され重症化することもある病気ですので、難病指定(指定難病84)として取り扱われています。
症状は「肉芽腫」ができる場所によってさまざまですが、心臓にできた場合は、不整脈や心不全、房室ブロックを誘発しますので、動悸、めまい、息切れ、むくみや失神という症状が出現します。最悪、突然死する場合もあります。
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