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介護保険部会が次期制度改正へ「給付と負担」を議論(9月26日)

社会保障審議会の介護保険部会は9月26日、次期制度改正に向け、給付と負担をテーマに議論した。

ケアマネジメントへの利用者負担導入や軽度者の生活援助サービス等の地域支援事業への移行について、サービス事業者をはじめ慎重な意見が多かったが、保険者代表は賛成を示した。

厚労省は給付と負担の論点として、次の7つをあげた。

  1. 被保険者範囲・受給者範囲

  2. 補足給付の給付のあり方

  3. 多床室の室料負担

  4. ケアマネジメントの給付のあり方

  5. 軽度者への生活援助サービス等のあり方

  6. 「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準

  7. 福祉用具貸与のあり方の見直し


介護給付から地域支援事業への移行「在宅ケアの質・量を低下させる」

全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員は、ケアマネジメントへの利用者負担の導入について「物価の高騰やコロナ禍で経済の低迷している状況で、これ以上の利用者負担増は回避すべきだ」と反対を表明。

要介護1・2の訪問介護と通所介護を地域支援事業に移行する考え方については、「地域支援事業受託者の要介護1・2の訪問介護・通所介護を行う力量は未知数にもかかわらず、移行すれば在宅ケアの質・量を確実に低下させる」と反対した。

福祉用具の貸与・販売種目のあり方については、「貸与と販売の双方のメリットを考慮するとともに、用具によって適性や金額、使用方法が異なるため利用者の意向に則した慎重な議論が必要」と述べた。

ケアマネジメント利用者負担「サービスの利用控えにつながる」

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、ケアマネジメントへの利用者負担導入について「現時点で増やすことには慎重になるべき。サービスの利用控えにつながる可能性があるため、拙速な負担導入には反対」と述べた。

要介護1・2の訪問介護と通所介護の地域支援事業への移行については「慎重に検討すべきだ。まずは現行の地域支援事業の充実を図ることが先決」と述べた。

福祉用具のあり方について「要介護高齢者の状態像は様々変化するため、購入すると変化に対応できない。多くのエビデンスがないと貸与から購入に変更できない」と反対した。

多床室の室料を保険給付の対象外とすることには、「老健施設は住まいではなく、在宅支援のための療養の場である」と反対した。

生活援助「市町村が実情に応じてサービス提供するのが効率的・効果的」

一方、健保連の河本滋史委員は、ケアマネジメントの利用者負担について「他の介護サービスに利用者負担があることや、介護給付の適正化の観点から導入すべき」と述べた。

軽度者への生活援助サービス等のあり方について、「市町村が地域の実情に応じたサービス提供を行う方が本来は効率的・効果的である。また人材や財源に限りがある中で、重度の要介護者に資源配分を重点化していく必要があることから給付の見直しは必要。総合事業へ移行すべきだ」と述べた。

多床室の室料については、「在宅と施設の公平性の確保や、どの施設でも公平な居住負担を求める観点から、給付の対象外とすべき」と述べた。

「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準については、「負担能力に応じた利用者負担への見直しに向けて低所得者に配慮しつつ、利用者負担の原則2割化、3割負担の対象範囲も拡大すべきである」と見直しを求めた。

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